(社)日本写真学会西部支部 特別講演会

金属ナノ粒子の未来

−合成法、物性と応用展開−



ナノ粒子は、その粒径ゆえに発現する特殊な機能や物性から、新しい応用展開が期待され、
未来を支える新技術として注目を集めている。本会では、金属ナノ粒子に焦点を当て、製法、
物性から応用展開までを俯瞰し、現状の理解と今後の可能性を探る。

                                 
主 催 (社)日本写真学会 西部支部
協 賛 依頼中
開催日時 2006年 10月 6日(金) 10:30 〜 17:00
開催場所 大阪市立大学文化交流センター ホール
〒530-0001 大阪市北区梅田 1-2-2-600 大阪駅前第2ビル 6階
Tel 06-6344-5425  Fax 06-6344-5524
定 員 100名(先着順受付)
参加費(税込み) 主催・協賛学協会  5,000 円
非会員 7,000 円
学生 1,000 円
参加申込方法 葉書、FAX またはメールで、

1.氏名
2.所属
3.住所(連絡先・郵便番号)
4.電話・FAX番号
5.会員種別

などを明記のうえ、下記宛にお申し込みください。
会費は当日、受付窓口でお願い致します。
申し込み先 〒617-8666  長岡京市開田 1-6-6 
三菱製紙(株)総合研究所京都R&Dセンター内
(社)日本写真学会西部四尾事務局  湊 健


プログラム

10:30 〜 11:30 「金ナノ粒子が拓く世界 − プラズモニクスへの道のり」
山田 淳 (九州大学大学院工学研究院応用化学部門)
 伝統的なガラス工芸品である薩摩切子などには、「金赤」で代表されるように、金ナノ粒子がガラスの着色剤として使われている。この現象こそ表面プラズモン共鳴によるものである。表面プラズモンを設計し応用する科学技術分野はプラズモニクス(plasmonics)と呼ばれ、ここ数年の間で世界的な高まりを見せている。金属ナノ構造と光が生み出す現象は、無限の可能性を秘めている次世代の光科学技術なのである。本講演では、金ナノ粒子について、ナノスフェアやナノロッドの合成と集積化技術、そしてフォトニクス、センシング、バイオへの応用例について演者らの研究成果を紹介し、金属ナノ粒子の未来についての一考察を述べてみたい。

11:30 〜 12:20 「プラズモン増強励起蛍光分光法の応用」
石田 昭人 (京都府立大学人間環境学部環境情報学科)
 プラズモンを使ってナノスペースで分子―金属―光の三者の相互作用を積極的に構築する研究を展開している。分子薄膜のプラズモン励起の原理と応用、ナノスペース蛍光免疫分析法、さらに、希土類ナノ結晶化ガラスについての成果を発表する。 次世代の感光・発光デバイスでは分子―金属―光の三者が共存する系が主流となろう。しかし、金属表面に分子薄膜修飾し、これを励起するために直接光を照射しても、薄膜の吸光度が非常に小さいために、ほとんどの光は反射損失してしまう。表面プラズモンは金属の自由電子と光の相互作用により形成される表面電場で、金属表面に強く局在した一種のニアフィールドであるが、水平方向には数μmも伝播する。これを用いて分子薄膜を励起すれば、励起効率が格段に向上すると期待される。この観点で研究を開始した筆者は「分子薄膜をプラズモン励起する」概念を初めて実証することができた。以後、世界各国で同様な研究が展開され、「分子プラズモニクス」という言葉が登場するに至った。とくに、金属表面をナノ加工して、電場分布を制御する技術の展開が最も興味深い。

12:20〜13:20 昼食休憩

13:20〜14:10 「金ナノ粒子のマイクロ波合成と表面増強ラマン特性」
福岡 隆夫 ((独)科学技術振興機構 京都府地域結集型共同研究事業コア研究室)
 従来の蛍光検出法に代替することが期待されている表面増強ラマン散乱(SERS)を利用するには、効率的に局在プラズモン共鳴を利用できる貴金属ナノ構造体の実現が不可欠である。プラクティカルなところ貴金属ナノ粒子の界面状態と凝集・集積構造が重要な働きをなしており、そのことを考慮した合成法が探索されている。マイクロ波合成が金ナノ粒子の迅速な精密合成として有望であることを示し、SERSのバイオ解析技術への応用について述べる。

14:10〜15:00 「貴金属ナノ粒子の塗料用色材への応用」
小林 敏勝 (日本ペイント(株)R&D 本部総合技術研究所)
 金や銀のナノ粒子の表面プラズモン光吸収に着目し、彩度や透明性と耐候性を両立する高意匠性塗料用色材としての利用を試みている。塗料用色材として開発を進める中で、金属濃度が非常に高いナノ粒子ペーストの調製に成功し、これを応用した塗装でメッキや真空蒸着のような外観を呈する塗料も開発中である。講演では金や銀を中心とした貴金属ナノ粒子濃厚ペースト作成法や、これらを応用した塗料・塗装系を紹介する。

15:00〜15:20 休憩

15:20〜16:10 「金属ナノ粒子の製造と基板上への固定化法ならびにその応用」
米澤 徹 (東京大学大学院理学系研究科)
 シングルから数十ナノメートルサイズで粒子径の比較的揃った貴金属ならびに遷移金属ナノ粒子を湿式法で調製し、その応用展開を目指す研究を行っている。本講演では、湿式法による均一大量合成への展開、さらには、ナノ粒子のシリコン基板上へのSi-C結合形成による固定化法や、電子移動材料としての利用などについて最近の研究から述べたい。

16:10〜17:00 「量産型ガス中蒸発法の独立分散ナノ粒子インク印刷法による導電膜形成」
小田 正明 ((株)アルバックコーポレートセンター ナノパーティクル応用開発部)
 真空装置を用いたガス中蒸発法によるナノ粒子はアルカリ、塩素、イオウなどの不純物を製造プロセス上から含むことがなく、廃液の排出もない環境対応型のプロセスである。
 量産製造可能規模は既に銀で月産500kg(固形分重量)レベルとなっており、価格的にも湿式還元法よりも低価格化が可能である。この方法による金、銀、銅、ITOなどのナノ粒子インクの特性とインクジェット法、スクリーン印刷法による導電膜形成の応用例を紹介する。